仕事とリーダーシップ
『貞観政要』の三つの鏡。人を導く前に、自分を見つめる。
表情を確かめる鏡、歴史に学ぶ鏡、他者の声を聞く鏡。3月の倶楽部で語られた三つの視点から、仕事や人との関わりを見直します。
先人の知恵を、今日へ
- 読む
- 考える
- 生かす

この記事の要点
人を導く立場になるほど、自分を客観的に見る機会が必要になる。講義では『貞観政要』の三つの鏡を、表情・過去からの学び・耳の痛い意見という日常の実践へ結びつけて考えました。
- 表情や態度が、周囲へ何を伝えているかを意識する。
- 歴史を年号の暗記ではなく、判断と行動の教訓として学ぶ。
- 自分に異論を伝えてくれる人の声を、すぐに退けない。
人に何かを伝えるとき、私たちは言葉の内容を考えます。一方で、そのときの表情や態度、周囲が意見を言える空気には、どれほど注意を向けているでしょうか。 3月28日の倶楽部は、『貞観政要』の「三つの鏡」を入口に、リーダーとしての在り方を探究しました。講義では、この古典のテーマが、現代の仕事や日々の関わりに引き寄せて語られています。
銅の鏡――今の自分は、どう見えているか。
一つ目は、自分の姿を映す鏡です。講義では、外見を飾る話ではなく、自分の表情・態度・雰囲気を意識することとして説明されました。心の状態は、思っている以上に顔へ出ることがあります。
自分では普通に話しているつもりでも、相手は話しかけづらさを感じているかもしれない。反対に、明るく応じることが、相手の言葉を引き出すきっかけになることもある。人を動かそうとする前に、自分がどのような状態で向き合っているかを確かめます。
歴史の鏡――過去の判断を、未来への教訓にする。
二つ目は、過去に学ぶ鏡です。講義では、歴史を学ぶことは年号を覚えることではないと語られました。先人もまた、判断に迷い、思いどおりにならない状況に直面しています。そこで何を考え、どのように行動したのかが、今の自分への問いになります。
同じ出来事が、そのまま繰り返されるわけではありません。それでも、成功したときの慢心や、変化への向き合い方から学ぶことはできます。過去を知る目的を、知識を増やすことから、次の判断を考えることへ移してみます。
人の鏡――耳の痛い声を、聞けるだろうか。
三つ目は、自分以外の人を鏡として、自分の誤りを知ろうとすることです。講義では、年齢や立場が上がるほど、率直な意見を言ってくれる人が少なくなるという点が取り上げられました。
自分に賛成する声だけが集まると、安心はできても、見落としに気づく機会は減ってしまいます。異論を聞くことは、相手の主張を無条件に受け入れることとは違います。まず、何を伝えようとしているのかを聞き、自分の見えていなかった面を確かめることです。

三つの鏡を、日々の確認に使う。
自分の見せ方を確かめる。過去の判断から学ぶ。他者の視点を受け取る。この三つを並べると、内省が自分一人の考え込みで終わらないことがわかります。
鏡は、自分を責めるためではなく、次の行動を整えるために使うもの。小さくても、自分の応じ方を変えるところから実践は始まります。
- 銅の鏡表情や態度を振り返る
- 歴史の鏡過去の教訓から考える
- 人の鏡他者の意見に耳を傾ける
一つの見方に偏らず、自分の判断を確かめる。
次の対話の前に、確かめたいこと。
誰かと話す前に、自分の表情や姿勢を一度確かめてみる。最近の判断について、似た経験や過去の失敗がなかったかを振り返る。そして、信頼できる人に、自分が見落としている点を聞いてみる。
返ってきた言葉を、すぐ説明や反論で埋めない。その短い間が、自分には見えなかったものを映す時間になるかもしれません。
参照情報
2026年3月28日 もののふ倶楽部「貞観政要・人生最後の日」
文字起こしの00:13:35〜00:17:35、00:25:50〜00:27:00付近、00:56:46〜00:58:45を中心に編集。古典の厳密な注釈ではなく、講義での現代的な受け止め方を紹介しています。末尾の実践案は編集上の提案です。





